相続とは？

相続とは、亡くなった方の財産（プラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も含みます）が法律で定められた親族に受け継がれることです。この相続手続きは、被相続人が亡くなった時点から開始されます。

相続財産には不動産や預貯金、株式や自動車などさまざまなものがあります。これらの財産を誰がどのように受け継ぐのかは、自由に決められません。民法で定められた相続順位や、被相続人が遺した遺言によって決定されます。

遺言とは？

遺言とは、被相続人が生前に自分の財産の分配方法などを指定しておける制度です。遺言を作成することで、遺産分割協議の手間を省いたり、相続人間でのトラブルを未然に防げるでしょう。遺言には作成方法によって、公証役場で作成する公正証書、自分で作成する自筆証書などがあります。

相続手続きには、さまざまな手続きが必要です。戸籍謄本の収集や相続関係説明図の作成、遺産分割協議書の作成、相続登記の申請などがあります。これらの手続きは複雑で専門的な知識が必要となるため、ご自身で行うのは難しく大変な場合もあります。

宇都宮市にお住まいの方で相続が発生した場合には、専門家である司法書士に相談することで、手続きをスムーズに進められるでしょう。司法書士は、相続登記などの手続きを代行するだけでなく、遺言作成のサポートも行っています。

手続きの種類	説明	必要な書類
遺産分割協議	相続人全員で遺産の分割方法を話し合って決定する手続き	・戸籍謄本 ・相続財産の目録 ・遺産分割協議書
相続登記	不動産の所有者を被相続人から相続人に変更する手続き	・戸籍謄本 ・相続関係説明図 ・遺産分割協議書 ・固定資産税評価証明書
遺言作成	被相続人が生前に自分の財産の分配方法を指定しておく手続き	・公正証書遺言の場合は証人2人 ・自筆証書遺言の場合は、全文を自筆で作成し、署名と押印が必要

遺言書作成の基本的な手続きの解説

遺言書には主に、

• 公正証書遺言
• 自筆証書遺言
• 秘密証書遺言

の3種類があります。それぞれの手続きや特徴を理解し、ご自身に合った方法を選択することが大切です。

公正証書遺言

• 手続き

公証役場で証人2人以上の立ち会いのもと、公証人に遺言内容を伝え、作成してもらいます。原本は公証役場で保管されます。

• 特徴

遺言書の原本が公証役場で保管されるため、紛失や改ざんの心配がありません。また、手続きは複雑ではありません。

• メリットとデメリット

メリットは、信頼性が高いことです。一方デメリットは、手数料がかかります。

自筆証書遺言

• 手続き

全文、日付、氏名を自筆で書きます。そのあと、署名、押印が必要です。法務局で保管手続きも任意で可能です。

• 特徴

手続きが簡単で費用もかかりません。

• メリットとデメリット

メリットは、費用がかからないことです。一方デメリットは、紛失や改ざんのおそれがあることです。また、方式の不備により無効になる可能性があります。

秘密証書遺言

• 手続き

遺言書を作成し、封をしたうえで、公証役場で証人2人以上の立ち会いのもと遺言書を提出します。

• 特徴

自筆でなくても作成可能です。

• メリットとデメリット

メリットは、遺言の内容を秘密にできることです。一方デメリットとして、手続きが複雑になります。

遺言の種類	メリット	デメリット
公正証書遺言	信頼性が高い	手数料がかかります
自筆証書遺言	費用がかからない	紛失や改ざんのおそれがあります。また、方式の不備により無効になる可能性があります。
秘密証書遺言	遺言の内容を秘密にできます	手続きが複雑です

遺言書を作成する際には、どの方式を選択するにしてもご自身の財産状況や家族構成などを考慮し、適切な内容を記載することが重要です。

遺言所を作成する際は、専門家である司法書士に相談することで、スムーズな手続きが期待できるでしょう。特に公正証書遺言を作成する場合は、公証役場とのやり取りや証人の手配なども司法書士がサポートしますので、安心して手続きを進められます。また、自筆証書遺言の場合も、遺言書の書き方や保管方法などについてアドバイスを受けることが可能です。

公正証書遺言の効力と特徴について

公正証書遺言は法律の専門家である公証人が作成に関与するため、高い法的効力と信頼性を持ち、相続手続きをスムーズに進めるうえで大きなメリットがあります。

公正証書遺言は他の遺言書形式と比較して、形式の不備や無効となるリスクが低く、相続開始後の手続きが簡素化されます。また、原本が公証役場で保管されるため、紛失や改ざんの心配がありません。

項目	公正証書	自筆証書
作成方法	公証役場で証人の立ち会いのもと作成	自筆で全文作成
費用	手数料が必要	手数料不要
保管	公証役場で保管	ご自身で保管
紛失・改ざんのリスク	なし	あり
検認手続き	不要	必要

公正証書遺言の作成手続きは、証人の確保や公証役場との打ち合わせが必要となるため、自筆証書遺言と比較すると手間と費用がかかります。しかし、相続発生後にトラブルを避けるためには、公正証書遺言を選択することが有効です。

公正証書遺言は、複雑な相続手続きを円滑に進めるための重要なツールであり、専門家のサポートを受けることで手続きをスムーズに進められるでしょう。

自筆証書遺言作成時の注意点と必要事項

自筆証書遺言は、費用をかけずに手軽に作成できるというメリットがある一方で、注意すべき点もいくつかあります。作成した遺言書が無効にならないように、作成時の注意点と必要事項をしっかりと確認しておきましょう。

自筆証書遺言で最も重要なのは、全文を自筆で書くことです。パソコンやワープロで作成したものは無効です。また、加除訂正する際にも所定の手続きが必要になりますので注意しましょう。

項目	内容
全文自筆	遺言書の全文、日付、氏名を自筆で記入します。ワープロや代筆は無効です。
署名と押印	必ず本人が署名と押印します。
日付の記入	作成日を明確にするため、必ず日付を記入します。
訂正の方法	加除訂正する場合は、訂正箇所を明確にしたうえで、署名と押印が必要です。
保管場所	作成後は、紛失や改ざんが起きないように適切に保管することが重要です。

これらの要件を満たしていない場合、作成した自筆証書遺言が無効になってしまう可能性があります。たとえば財産目録については自筆でなくてもよいとされていますが、パソコンで作成した財産目録を添付する場合には、各ページに署名と押印が必要です。

このように自筆証書遺言の作成には、さまざまな手続きと注意が必要になります。専門家である司法書士に相談すれば、確実な遺言書を作成できます。作成公正証書や自筆証書遺言についてお悩みの方は、まずは栃木・宇都宮 相続相談室へご相談ください。