相続はいつから?いつまで?
相続は、一連の手続きが厳格な期限と共に設けられているため、細心の注意が求められます。そして、その全ては相続開始日を正確に理解することから始まります。相続の始まりと、相続の各手続きにおける期限について説明します。
目次
相続はいつ始まるのでしょうか?
相続の開始は「人が死亡した時」です。民法では「相続は死亡によって開始する」とされています。親から財産を譲り受けた時ではなく、遺産分割協議がまとまった時でもありません。人が亡くなった瞬間からその人の相続が開始されます。
役所へ死亡届を提出すると戸籍に死亡日が記載されます。そのため、具体的な相続開始日を確認したい場合は戸籍を取得すると良いでしょう。
多くの場合、被相続人が亡くなった日から相続が開始します。しかし、行方不明者等で死亡を確認できない場合にも適用される制度が存在します。適切な手続きを進めるためには、これらの各種情報を適切に把握し、適時に行動することが重要です。
自然死
老衰や病気といった一般的に自然死と呼ばれる状況の場合、医師による診断が行われ、その診断によって死亡が確認されます。そして、その瞬間から相続が開始されます。
認定死亡
認定死亡とは、水難や火災といった事故で死亡が確定的だが、遺体が確認できない場合を指します。この状況においては、調査を担当した官公署が死亡日を認定します。
死亡が確認できない場合(失踪宣告)
長年行方が分からない場合や、戦争や地震などの災害により生死が不明となった場合があります。特定の要件が満たされた状況下で、ある人の生死が不明である場合、その人を法的に死亡したとみなす制度を失踪宣告と言います。失踪宣告は、生死が確認できない人を対象に、法律的に死亡したものと認定する制度です。
失踪宣告には、「普通失踪」(7年間行方不明の状態が続く場合)と「特別失踪」(戦争や地震といった危険な状況に遭遇した後、その危機が去った1年間で生死が確認できない場合)の2種類があります。普通失踪の場合、生死が不明となった日から7年経過した日が相続開始日となります。一方、特別失踪の場合は、危険が去った日が相続開始日とされます。
脳死
医学的な観点からの脳死は、法的な死亡とはみなされないため、相続は開始されないとされています。
同時死亡の推定
同時死亡の推定とは、火事や災害などで複数の人が死亡し、その各人の死亡時期の前後が明らかでない場合に、法律上全員が同時に死亡したものと推定される制度を指します。
例えば、親子が火災により同時に命を落とした場合、どちらが先に亡くなったのかを特定するのは難しいでしょう。このような状況においては、同時死亡の推定が適用され、親子が同一の時刻に死亡したものと見なされます。このため、親子間には相続関係が発生しないこととなります。
相続に関わる期限
相続に関する手続きの多くには期限が設けられており、それらは相続開始日や期限の開始日に大きく依存します。そのため、これらの日付を正確に把握することは、スムーズな手続きを進めるために重要となります。
相続放棄
相続放棄は、「自分のために相続があったことを知ってから」3カ月以内に行わなければなりません。この起算日は、自身が相続の立場にあることを知った日となるため、例えば生前の付き合いがなく、死亡の事実を知らなかった場合などは、3カ月の起算日は死亡日とは一致しません。また、「遺産がないと思い込んでおり、その思い込みに正当な理由があった場合」は、例外として「相続があったことを知った日から3カ月」が過ぎても相続放棄が可能なケースが存在します。さらに、先順位の相続人が相続放棄したために後順位の者が相続人になった場合は、「先順位の相続人が放棄したことを知った日から」3カ月以内に相続放棄を行わなければなりません。
相続登記
2021年2月に「民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)の改正等に関する要綱案」が決定しました。この改正により、相続登記が義務付けられることとなりました。この制度は令和6年(2024年)4月1日から始まります。
改正された不動産登記法によれば、相続登記の期限は、「自分のために相続が開始したことを知り、さらに不動産の所有権を得たことを認識した日から3年以内」と定められています。この相続登記義務化の対象者は、不動産を相続した人物です。制度施行日(令和6年4月1日)以前に相続が発生した人も含め、相続登記の義務が課せられます。
相続税・準確定申告
相続税の申告や納付にも、きちんとした期限が定められています。相続税の場合、期限は「相続開始を知った日の翌日から」10カ月とされています。たとえば、相続人が死亡を知ったのが死亡から10日後だった場合、計算は死亡後の11日目から10カ月となります。また、被相続人が事業を営んでいた場合など、相続人が所得税の準確定申告を行う必要があります。この準確定申告の期限は、「相続開始を知った日から4カ月」とされています。
遺留分
「遺留分」は、兄弟姉妹を除く相続人が確保すべき最低限の遺産取得割合を示します。遺言や贈与によって遺留分が侵害された場合、遺留分侵害額請求を行うことで、侵害分を取り戻すことが可能です。
しかし、遺留分侵害額請求には期限があり、「相続開始と遺留分侵害を知った日から1年」以内に行わなければなりません。つまり、以下の2つを認識した日から1年が期限となります。
・相続開始(被相続人の死亡)
・遺留分を侵害する遺言書や贈与の存在
被相続人の死亡や遺言書の存在が未知である場合、遺留分侵害額請求の期限は進行しません。
ただし、これに加えて「相続開始日から10年」という期間制限もあります。被相続人の死亡や遺言書、贈与の事実を知らない場合でも、相続開始日から10年が経過すれば遺留分の請求は不可能となります。
したがって、遺留分が侵害されたと感じる場合は、早めに遺留分侵害額請求を検討することをお勧めします。
まとめ
相続に関する手続きは、その多くが法律により厳格な期限が設けられています。相続放棄、相続登記、相続税と準確定申告、そして遺留分侵害額請求など、各手続きの期限は異なります。相続開始を知った日を起算点とするもの、特定の事実を知った日から計算するものなど、期限の開始点は様々です。期限を遵守することで適切な相続手続きを進めることが可能となります。しかし、もし手続きに遅れが出た場合、重要な権利を喪失することもあります。日付を間違えてしまうと、税金の滞納や不要な借金の相続といった不利益を受ける可能性があります。そのため、注意深く、また早急に手続きを行うことが求められます。
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